第4話「河を渡って木立を抜けて」

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アル――ああ…!

連邦兵A――それから電話で約束してよ。レストランで待つ事、2時間。梨の礫と来たね。2時間だぜ?2時間。
     ――自分の根性に泣けてきたね。

連邦兵B――その根性を別の方面に使うんだな。

連邦兵A――貴重な休暇をよ、あんなタマの為に棒に振っちまって…ついてねーったりゃありゃしねえ!

連邦兵B――へっ。長い人生にゃ、当たり外れもあるってことさ。

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アル――バーニィ!

バーニィ――アル、貴様…

アル――あったよ!モビルスーツ!

バーニィ――何がモビルスーツだ!
     ――…ジムか?
     ――じゃあ何だ?

アル――名前は分かんないけど、写真に撮ってきたよ!

キャスターA――先日、リボーコロニーで起きた2度に亘るジオン軍の条約違反行動に関して、政府はジオン公国に強く抗議をしたのにも関わらず陳謝の態度が見られないとして遺憾の意を表明しました。

キャスターB――また、本日内閣はリーア全コロニーに対してジオン籍のあらゆる船舶の入港拒否案を議会に提出。即日投票の結果、多数決により当案は可決しました。ジオン国籍船の強制退去は1両日中に完了させると内務省のスポークスマンは語っております。

チャーリー――もう店仕舞いなんですがね。
      ――聞こえないのか?終わりだよ。

ガルシア――気の抜けたビールを置いてねぇか?

チャーリー――…大した注文だな。

ガルシア――馬のションベンよりマシなら文句はねぇよ。

チャーリー――奥にあるかもな…

ガルシア――そいつは有難てぇ。

チャーリー――連邦の基地ね…、豪く大きな探しもんだ。

ガルシア――民間施設を買収して使ってるんじゃないかと思うんだ。

チャーリー――時間が掛かりそうだ。カウンターの方で待ってくれ。

チャーリー――待たせたな。

ガルシア――いや…、分かったかい?

チャーリー――場所だけはな、工場を改造して使っているようだ。地図と工場の設計図が入ってる。
     ――設計図の方は改造前のものだ。あまり当てにならんぞ。

ガルシア――手間掛けたな。

チャーリー――手紙の方はシュタイナーに渡してくれ

ガルシア――分かってる。

バーニィ――カメラモード使ったんだろ?ちゃんと写ってるかな…

アル――大丈夫だって!

バーニィ――…お前楽天的だな。

アル――楽天的って?

バーニィ――失敗したときの事考えないのか?

アル――考えない。
   ――ほら…

バーニィ――ヒュー。

アル――えへへへ…

アル・バーニィ――あははは…

ガルシア――バカ野郎!
     ――テメェ、作戦をオシャカにする気か?勝手にチョッカイなんぞ出しやがって!連邦に捕まったら一体どうする気だ?え?ガキの遠足じゃねーんだぞ!

シュタイナー――二人共、そこら辺でやめとけ!

ミーシャ――落ち着きな、ガルシア。ヤッちまったもんは仕方ねーさ。

シュタイナー――ガルシア、もう一度酒場に行ってこい。コスチュームを注文してくるんだ。

ガルシア――…了解。

シュタイナー――バーニィ、小僧はどうした?

バーニィ――…車の中で寝てます。

シュタイナー――ウチまで送ってってやれ。

バーニィ――はい。

シュタイナー――あんな無茶は二度とやるな。死にたくなかったら命令どおり行動しろ。

バーニィ――アル、着いたぞ。
     ――おいアル、お前の家だ!アル、起きろよ!
     ――しょうがねーなぁ。
     ――ん?
     ――フッ、似てらー。
     ――…下手糞。

クリスの母――クリス、お客さん?

クリス――私が出るからママは寝てて。

クリス――起こすといけないから行きましょ。

クリス――アルのお母さんには「ウチに来て泊まった」って、言っときますから…

バーニィ――助かりました。失礼します。

クリス――ではまた、ワイズマンさん。

バーニィ――…マッケンジーさん。

クリス――えっ?

バーニィ――あのー、次からはワイズマンじゃなくてバーニィで良いです。

クリス――…私もクリスと呼んでください。
    ――おやすみなさい、バーニィ。

バーニィ――おやすみなさい、クリス。

店主―― あー、GKモーターサービスさんね?届いてますよー。
   ――動力プライヤー、大型ドリル、特殊鋼用バーナーと…
   ――これなら戦艦にも穴が開けられますぜ?

ミーシャ――ヘッ、コロニーの壁でもかい?

ガルシア――ヒューズはOKです。序でにブレーカーの方も調整しておきました。

警備兵――ご苦労さん。

同級生――アル、何描いてんだ?

アル――モビルスーツ。

同級生――ふーん連邦軍のか?

アル――ジオン軍。

同級生――ケッ、敵のモビルスーツ描いてどうすんだよ?

アル――敵って、どういう意味だよ?

同級生――ニュース見てねーのか?お前。

アル――ニュースなんか知るかよ!

チェイ――どうしたんだ?

テルコット――何やってんだ?

アル――チェイ!コイツさ、ジオンが敵だなんて言ってんだぜ?

チェイ――その通りじゃねーか?何処が可笑しいんだよ?

アル――テルコットお前はどう思う?

テルコット――ジオンは選民思想で悪いんだ。ママが言ってた。

アル――ママが言ったら正しいのか?

テルコット――だってさ、大人がー…

アル――ジオンの方がカッコいい!ザクは強いけど、ジムなんて弱っちくて最低じゃないか!

同級生――一番強いのはガンダムだぞ!

アル――何だ、ガンダムって?

同級生――連邦最強のモビルスーツ知らないのか?

チェイ――オレ、聞いたことあるぜ。ザクを100機以上やっつけたんだよな。

テルコット――へー。

アル――嘘に決まってらー!

チェイ――本当だよ!

同級生――お前遅れてるぜ!

チェイ――ほーんと、ジオンなんてカスだよな?

テルコット――カスはカスを好きになるんだって。

アル――ママが言ってたかー?

同級生――アル、突っ張らかんなよ。

チェイ――最近、変なんだよ…コイツ、付き合い悪いしさ。

ドロシー――アンタ達!席に着きなさいよ!もう授業始まってんのよ。いい加減にしたら?

チェイ――へへへ…そうか、お前等デキてたのか?

アル――チェイ!

ドロシー――何言ってんのよ!

チェイ――邪魔して悪かったな。
    ――まあ、二人で仲良くやんな。

アル――出しゃばり!

ドロシー――先生来たわよ。

先生――はーい、みんな静かにして。

シュタイナー――久しぶりだな、チャーリー。

チャーリー――景気はどうだい?

シュタイナー――何とか生き延びてるよ。で、話ってのは?

チャーリー――お前達は囮だ。Gの所在を確かめる為の。

シュタイナー――やはりな…

チャーリー――気付いてたのか?

シュタイナー――補充兵を頼んだら新米を送ってくるし、脱出用の船は自前で見つけろときた。
       ――気付かん方が可笑しいさ。指揮官連中は別の手を打ってるんだろう。

チャーリー――頼まれてた服だ。パスポートの方は明後日の夜あがる。俺だったら逃げるがね。
      ――この戦争はもうすぐ終わる。

シュタイナー――ジオンは負けるな…

チャーリー――ああ…

シュタイナー――このコロニーは良い所だな?チャーリー。

バーニィ――あれはさー、ガンダムの新型連邦の秘密兵器だな。

アル――ガンダム?ザクを100機以上落としたってヤツ?

バーニィ――…お前、よく知ってんな?

アル――へへー…バーニィ、アイツに勝てる?

バーニィ――楽勝さ。

アル――楽勝?

バーニィ――と、言いたいトコだが…ま、五分五分だろうな。

アル――ガンダムって強いんだね?

バーニィ――まあな。
     ――…クリスがさー、俺のコト何か喋ってなかった?

アル――何も喋ってないよ。

バーニィ――あっそう…
     ――いや、あの娘、連邦の軍人だろ?きっかけがあったら役に立つ情報が手に入れられるなーと思ってさ。

アル――僕がやってみるよ。

バーニィ――それも良いかもな。

シュタイナー――青い表示が連邦軍関係の施設と推定される建物だ。赤い表示がガンダムがある工場。連邦の基地だな。緑色が地下通路だ。道順を頭に叩き込んでおけ。

ミーシャ――モビルスーツ用の武器は3ヵ所に設置しました。此処と、此処と此処です。

ガルシア――この地点を破壊してコロニーの隔壁に穴を開けます。モビルスーツ脱出に十分な穴が開くはずです。
     ――たっぷり爆薬を仕掛けましたからね。

シュタイナー――18時にミーシャのモビルスーツが陽動に出る。街中を突っきり基地の対岸まで移動する。


バーニィ――陽動っていうより…囮みたいなもんですか?

ミーシャ――繁華街を通るんだ、向こうからは攻撃しては来ねーよ。

シュタイナー――俺達三人は例の地下道から基地に潜入する。ガンダムが動くかどうかは分からん。奪取が不可能の場合は破壊を優先する。作戦の成否に関わらず連邦基地から脱出後は各自分散して行動する。出発は明日16時。以上だ。

ガルシア――防弾チョッキ着けるのは初めてか?

バーニィ――はぁ。

ガルシア――バーニィ…

バーニィ――えっ?

ガルシア――隊の中で俺より階級が低いのはお前だけだ。威張れる相手がいなくなると困る。
     ――…死ぬんじゃねーぞ。

アル――バーニィ!クリスに頼んでさ、あの辺りを見学させてもらうことになった。
   ――隙があったら、またあの中に入れるかもしんないよ。

バーニィ――いつ行くんだ?

アル――明日。

バーニィ――明日!?やめとけ!絶対ダメだ!

アル――どうして?絶好のチャンスじゃない?

バーニィ――ダメだと言ったらダメなんだ!いいか?絶対に行くんじゃないぞ!

アル――バーニィ!バーニィ!

ミーシャ――滅びゆく者の為に…

シュタイナー―― 滅びゆく者の為にか…

研究所職員A――ディック=ルムンバ博士ね?ええ、聞いてますよ。4階の2号研究室でお待ちです。

アル――ありがとう!


研究所職員A――中、走っちゃダメよ。

研究所職員B――おお、坊や。コッチは関係者用なんだ。見学者はアッチのエレベーター使ってね。

記者――この施設が軍事研究に協力しているという噂もあります。私達が不安視しているのは…

ディック――無責任な噂だね。事実無根だよ。

記者――博士の研究対象はメカニカルアームでしたね?

ディック――うむ。

記者――義手や義足の構造設計にはモビルスーツと共通する技術が必要とされるのではありませんか?

ディック――トースターと大砲にも共通する技術はあるよ。

記者――しかし…

ディック――あ、今日はこれまでにしてくれ。次のインタビュアーがお出でだ。
       ――アルフレッド君だね?私がディックだ。話はクリスから聞いてるよ。

連邦兵C――オタクら新入りかい?

シュタイナー――ああ、1週間前についたばかりで…

連邦兵C――アンタは?

バーニィ――俺も着任したばかりだ。

連邦兵C――オタク、訛りあるけど何処の出身だ?オーストラリア辺りの出か?

バーニィ――そう、シドニー生まれのシドニー育ちなんだ。

連邦兵C――シドニーね。良い所かい?

バーニィ――最高だね。今頃、街は雪で真っ白だろうな。

市民――キャー!

リーア兵A――しかし、我が軍の兵装は対人対地兵装を主力としておりモビルスーツ用では…


スチュアート――連邦はあくまでもリーア軍の支援の形をとる。これ以上コロニー住民の不評を買う気はない。

リーア兵A――ですが…

スチュアート――君達も実戦を経験しておいた方が良いと思うがね。
         ――グレイファントムを中に入れろ!モビルスーツが接近するようならジムとガンキャノンで防衛ラインを張る!

ディック――問題は制御システムでね、まだ大きすぎて人間の役には立たないんだ。

アル――モビルスーツは役に立ってるよ。

ディック――…あれは必要悪とでも言うべき機械で、人を幸せにする為のものではない。

リーア兵B――兵士諸君、これは演習ではない!総員配置につけ!

リーア兵C――モビルスーツはジオン軍所属のものと思われる。現在西18番通りを進行中!

ディック――コロニー内で…
       ――勿論、動かせる状態にありますが…

リーア兵D――全く応答しません!進路変更なし!

リーア兵E――いずれ住宅街を通る。住民の避難が完了したら攻撃を開始する!

リーア兵D――モビルスーツ、高速移動中住宅街へ向かってます!

バーニィ――街は雪で真っ白だろうな…

連邦兵C――おい、シドニー生まれ!オーストラリアは今は夏だぞ!

連邦兵D――ジオンの銃だぜ!見ろよ!

シュタイナー――バーニィ!うわっ…

バーニィ――ああ…

ガルシア――くそぉー!

リーア兵F――発射!
      ――がっ、がっ、学校が…

艦長――スカーレット隊、発進!

ガルシア――隊長の様子は?

バーニィ――出血が酷くて、殆ど意識がありません。

連邦兵E――スカーレット隊全滅!敵モビルスーツ、基地に接近中!

スチュアート少佐――Gルームの状況は?

連邦兵E――銃撃戦で膠着状態です。近付けません!

スチュアート少佐――マッケンジー中尉を呼べ!

クリス――反対です!コロニー内で戦うなんて…

スチュアート少佐――敵の手にアレックスを渡せと言うのか?中尉。

ガルシア――バーニィ、もう奪取は不可能だ!
     ――お前は隊長連れて、こっから脱出しろ!俺は、うっ…
     ――アイツを爆破する辿り着くまで援護を頼むぞ!

アル――ガルシア!

バーニィ――ああ…

アル――あー…
   ――うわー!?

連邦兵F――中尉まだ危険です!

連邦兵G――負傷者か?

バーニィ――…見りゃ分かるだろ?

連邦兵G――救護班はあっちだ!

ミーシャ――さあ来い、戦い方を教えてやる!

アル――う、うわー!

ミーシャ――う…何!?

連邦兵E――隔壁に穴が開いた模様!気圧が急激に低下しています!

スチュアート少佐――アレックスはどうした?

連邦兵E――霧が発生しています。よく見えません。

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