第5話「嘘だと言ってよ、バーニィ」

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ジオン兵A――報告します!ルビコン作戦失敗、ガンダムは依然としてサイド6に有り、サイクロプス隊の生死は不明。以上!

ルーゲンス――いかん、即刻中止だ!この場を離れろ!

ジオン兵B――しかし、中佐殿の命令で…

ルーゲンス――キリング、どういう事だ?

キリング――「どういう事?」と言いますと?

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ルーゲンス――核弾頭の使用など許可した覚えはない!

キリング――私も許可された覚えはありませんな…

ルーゲンス――貴様、条約を無視する気か?

キリング――サイド6は南極条約を批准しておりません。

ルーゲンス――そんな問題ではない!

キリング――それに、私の行動は閣下の管轄外に置かれているはずですが?

ルーゲンス――当基地の指揮は私が…
      ――うぉ…!?

ジオン兵C・D――閣下!?
       ――うぉ…
       ――うぁ…

キリング――作業を再開しろ!当刻より、グラナダの指揮は俺が取る!

クリス――警察?

ディック――君から直接聞きたいそうだ。

クリス――何処にいるの?

ディック――ジオンのモビルスーツの側だ。どうしてもそこで会いたいと言っているんだ。

刑事A――ほーう、こんな可愛らしいお嬢さんが、あのモビルスーツのパイロットとはね…

クリス――ご苦労さまです。

刑事A――コイツを倒したのもあんたなのかね?

クリス――はい。

刑事A――…フン。
    ――生き残りのジオン兵士が2名市街地に逃げ込んだらしいんだが、何か思い当たることはないかね?

クリス――いえ、特に。

刑事A――どんなことでもいいんだがね?

クリス――申し訳ありませんが…

刑事A――うむ。
    ――では、今度の襲撃には内部からの協力者がいたとの情報があるんだが、それについてはどうかね?

クリス――心当たりはありません。

刑事B――無駄足でしたか?

クリス――よろしいでしょうか?

刑事A――よかない!連中が動き出せばまた人が死ぬんだ。
    ――大体、妙ですな…、中立コロニーであるはずの此処に、こうもあからさまにジオンが攻撃してくるというのは何故でしょうな?

クリス――お答え出来ません。

刑事A――なるほど、知っているが答えないという事ですな?連邦軍はこのコロニーに駐留するという名目で密かにモビルスーツの開発をしていた。だからジオンが来た違うかね?

クリス――お答え出来ません。

刑事A――死者246名、重軽傷者572名。
    ―ー昨日の犠牲者の数だよ。二度とこんな大惨事は起こって欲しくないもんですな。

クリス――戦わなければもっと多くの人が死んでいたはずです!仕方がなかったんです!

刑事A――言いたいことは分かるがね!死んでも仕方のない人間なんてぇーのは一人だっていないんだ!数の問題じゃないよ!

市民A――こりゃ、酷い…
    ――何て事だ…。

市民B――生き残りのジオン兵が街へ逃げ込んだって。

市民C――やだねー。
    ――見つけたらブッ殺してやる!

市民D――何もコロニーの中でドンパチしなくても…
    ――連邦軍は何やってるんだ!

市民E――子供だよ。

市民F――可哀相に…

アル――あぁ…

シュタイナー――ああ、バーニィ…
       ――アイツは…
       ――ガンダムは…どうなった…?

バーニィ――えっ!?
     ――…あっ、…アイツはミーシャが破壊しました!僕達も早いトコ脱出しましょう!

シュタイナー――フフッ…、
       ――バーニィ…、嘘が下手だな…?
       ――うっ…

バーニィ――隊長…、
     ――隊長!

バーニィ――隊長…

チャーリー――…ハーディーが、シュタイナーが死んだか…
      ――ミーシャは?

バーニィ――…戦死です。

チャーリー――髪の黒い若いのは?

バーニィ――戦死です。

チャーリー――そうか…
      ――アンタ、そのパスポートで脱出しろ!なるだけ急いでな。

バーニィ――警戒が収まるのを待つつもりですが…?

チャーリー――いかん!直ぐに脱出するんだ!

バーニィ――待った方が安全だと思いますが…

チャーリー――そりゃあ、分かってる!

バーニィ――じゃあ、何故?

チャーリー――…いいか?よく聞くんだ。クリスマスの夜までにガンダムを始末できない時にはグラナダの艦隊がやって来る。
      ――核を使ってコロニーごと吹き飛ばす作戦だ!

バーニィ――そんな…バカな!?

チャーリー――全くな…
      ――兎に角、逃げろ!逃げて生き延びるんだ!

バーニィ――貴方は逃げないんですか?

チャーリー――儂はもう齢だ。それにこのコロニーが気に入ってるんでな…

バーニィ――ん!?

アル――バーニィ、僕だよ。バーニィ。

バーニィ――ふぅー…
     ――後ろをよく見ながら歩いて来たか?

アル――うん。

バーニィ――警察は俺を捜してたか?

アル――んーん。

バーニィ――そうか…
     ――座れよ。喰おうぜ?

アル――うん…

バーニィ――どうしたんだよ?

アル――人間て…、簡単に死んじゃうんだね?

バーニィ――またそんな話か?
     ――もう考えるな。

アル――でもー!

バーニィ――死んだ奴にはツキが無かったって事だ!隊長だろうと何だろうとツキのない奴は死ぬんだ!それが戦争ってもんだ!分かったか?
     ――ったく…ホラ喰えよ。

アル――うん…

バーニィ――…アル。

アル――ん?

バーニィ――俺は今日中に、このコロニーから脱出する。

アル――えぇ!?
   ――…逃げるの?

バーニィ――そうだ。

アル――何で?アイツは?連邦のモビルスーツはどうするの?諦めちゃうの?

バーニィ――気持ちは分かるが、時には逃げるのも男としてだな…

アル――大丈夫だよ、まだ!
   ――それに、このまんまじゃ、死んじゃった人は?

バーニィ――俺の話を聞け!
     ――…あと3日クリスマスの晩までにガンダムを始末出来ない時はグラナダの艦隊が来る。核爆弾を使ってコロニーごとブッ潰す作戦なんだ!

アル――じゃあ…

バーニィ――このコロニーは確実に破壊される。もうどうにもならん。     ――お前も此処を離れるんだ。母さんと旅行に行くとか…

アル――でもクリスマスまでにアイツを倒しちゃえばいいんだろ?

バーニィ――出来るわけないだろ!

アル――大丈夫だよ!バーニィなら…

バーニィ――出来ないの!あんな化け物どうやったら倒せるんだ!

アル――新型ったって、ちょっと速いだけだろ?あのザクだって修理すれば…

バーニィ――修理してどうするんだ?お前が動かすのか?

アル――えぇ…

バーニィ――俺はな…
     ――モビルスーツなんて一機も落としたことがないんだ!

アル――あと一機でエースだって言ったじゃないかー!

バーニィ――言わねーよ!

アル――言ったよー!

バーニィ――俺はただのヒヨッ子で皆のお荷物だ!ただ連れて来られただけなんだよ!

アル――嘘だ!バーニィはアイツが怖くなったんで嘘を吐いてるんだ!

バーニィ――ああ怖いね!怖くない方がどうかしてる!臆病とでも何とでも言えよ!

アル――待ってよー!

バーニィ――うるせーぞ!いいか…

アル――バーニィ!ホントは強いんだろ?アイツをやっつけられるんだろ?

バーニィ――見ろ!盗聴マイクだ。お前が俺達のことをバラすんじゃないかと思ってコイツで盗み聞きしていたんだ!
     ――仲間の印なんて嘘っぱちさ!生きたかったから逃げるんだアル、な?このコロニーから脱出しろ!

アル――他の皆はどうなるの?ガンダム僕達でやっつけようよ。そうすれば…

バーニィ――俺は逃げると決めたんだ!

アル――バーニィのバカー!警察へ行って話すからね!

バーニィ――そんなことしたら死刑だぞ!お前だって同罪なんだから!     ――ううっ…

少年――ヒョーヒョヒョ、気持ちイイ!

アル――あー…

警備員A――坊や、学校はどうした?

バーニィ(回想)――お前だって同罪なんだ!死刑だぞ!死刑!

警備員――サボりか?オイ、待たんか!

クリス――アル。どうしたの?何か心配事?

アル――うーん…別に。

クリス――何でも相談に乗るわよ。

アル――うーん…

クリス――ねぇ、そういえばバーニィはどうしてるの?最近見ないわね?

アル――知るもんか、あんな奴!


クリス――えっ!?…どうしたの?


アル――あのね、もしも…もしもね、宇宙艦隊が攻めて来てこのコロニーが潰されちゃうとしたら、クリスどうする?

クリス――戦うと思うわ。

アル――えっ…逃げないの?

クリス――そうね、逃げないと思うわね。


アル――怖くないの?

クリス――怖いでしょうね。でも怖いのには耐えられるけど、一人ぼっちになるのは耐えられないから。

アル――一人ぼっち?

クリス――お母さんやお父さんやアル、それに友達…私の大切な人が皆死んじゃって私だけが生きてるって事。自分だけ逃げても一人じゃ生きていけないもの、私。

アル――やっぱり逃げるっていうのは卑怯な事なんだね?

クリス――そうじゃないの。私が戦うとすれば結局は自分の為よ。自分が一人ぼっちになるのが怖いから戦うんだと思うの。でも、それは私の生き方、逃げる事もその人の生き方。どっちが正しいとか間違ってるとか、誰にも決められない事なのよ。
    ――戦えばその為に人が死ぬわ。でも戦わなくても死んでゆく、正しいことなんて何処にも無い。自分に出来ることをするしかないんだわ。
    ――関係ないこと喋っちゃったな?ゴメンゴメン。

アル――んーん、ありがとう!

クリス――…あっ、
    ――ねぇ!バーニィに会ったら宜しく伝えて!

空港職員A――サンダファイルまでの便は生憎、満席です。

バーニィ――船あるかい?

空港職員A――どちらまで?

バーニィ――何処でもいい。

空港職員A――アンタね、この戦時にそんな…

バーニィ――フランチェスカでいい。一枚だ。

空港職員A――料金520ハイトです。

作業員A――コラッ、入っちゃダメだ!

アル――離してよー!チェイは?テルコットは?皆は?

作業員A――知らん知らん!さぁ、帰った帰った!

アル――バカ!アホ!

作業員A――あー!コラッ、お前等もか!

テルコット――わー!

チェイ――逃げろ!

作業員A――いい加減にしろ!

チェイ・テルコット――わー!

アル――(チェイ、テルコット!)
   ――オーイ!

チェイ――…あん?アルじゃないか。

テルコット――ホントだ。

チェイ――お前、昨日学校来なかったろ?

テルコット――凄かったんだぜー。ジオンのモビルスーツが来てさ、学校壊してったんだぞ!

アル――皆は?

チェイ――…皆?皆がなんだ?

アル――学校にいた皆は無事だったか?

チェイ――はー?お前バッカか?モビルスーツが来たのは夜だろ?

アル――あっ!?あー…

チェイ――どうしたんだよ?

アル――だってー「昨日来なかっただろ?」なんて言うからさ。

チェイ――俺達は来たんだぜ。

テルコット――攻撃の直ぐ後でさ。

チェイ――なー!

チェイ・テルコット――へへへへ…

チェイ――オイ。

アル――えっ?

チェイ――いいもん見せてやるよ。

アル――ん?

テルコット――へへっ…

チェイ――ジャン!

テルコット――ズーン!

チェイ――コイツが今日の収穫。まだ匂いが残ってんだぜ。
    ――嗅いでみっか?そんな顔すんなよ。お前にもやるから、な?

テルコット――アルー、どうしたんだ?

チェイ――泣くなよ。元気出せよな?

テルコット――こんなん、いくらでも落ちてるからさ。

アル――あははは…

チェイ――そ、そうだよ。笑うんだよ!

アル・チェイ・テルコット――はははは…

ジオン兵E――艦長、キリング中佐より通信が入っています!

ヘルシング――繋いでくれ。

キリング――出撃時刻が決定した!12月25日0時00分だ!

ヘルシング――ミサイルは今搬入中だ!

キリング――ん、

ヘルシング――キリング、本気でアレを使う気なのか?

キリング――司令部の決定に反対か?

ヘルシング――いや…

キリング――お前が有能だからこそ、与えられた任務だぞ?分かっているんだろうな?

ヘルシング――ああ…

キリング――成功を祈ってるぞ。

婦警A――どう?こんなもんでいいかしら?

アル――(今までのことを全部話すんだ。そうすれば分かってくれるはずだ。死刑がなんだ、自分を一人ぼっちにしないためだ。)

警官A――えっ?そりゃあ大変だ!直ぐに逃げた方がいいぞ!さあ早く!

アル――本当なんだよ!

警官A――だからほら、早く逃げなきゃ。

アル――本当にクリスマスの日にジオンの艦隊が…

警官A――あー…分かった分かった、大変だ大変だ。

アル――信じてよ!

警官A――お前この前轢逃げだ何だって、言って大騒ぎしたガキだろ?覚えてんだぞ。

アル――今度は本当なんだよ!

警官A――いいから帰れ!親呼ぶぞ?

アル――皆死んじゃうんだぞ!バカー!死んじゃうぞ!知らないからな!

アナウンス――フランチェスカ行き、NTW-205便ご利用のお客様へご案内を申し上げます。搭乗手続きは30分後に開始致します。

バーニィ――ふー…
     ――うっ…、
     ――クリス…

店員A――いらっしゃいませ。お飲み物は何になさいますか?

バーニィ――あの…ウィスキー水割り。

店員A――かしこまりました。

女A――こっちにもウィスキー追加ね。

店員A――お客様、もう控えられた方が…

女A――何よ!あっちの人にはOKで私にはダメってわけ?

店員A――…ウィスキーですね?

女A――ダブルでお願いね。

店員A――はい、3ハイト5クールです。

バーニィ――ああ…うっ、

店員A――ありがとうございました。

女A――勘定置いておくわよ。
   ――そうよ私、仰せの通り今から出発するとこ、麗しのフランチェスカへね。
   ――厄介払いが出来て、さぞホッとしてるんでしょ?あの娘と精々幸せに暮らしてね。
   ――酔ってなんかないわ!少しお酒を飲みましたけどね、全然酔ってなんかないわよ。酔えるもんですか…
   ――結婚しようって言ったのアンタじゃない!何よ!嘘ばっか言って、うっう…行きたくないわよ!あんなトコに…
   ――フランチェスカなんて…フランチェスカなんて最低のコロニーじゃない!

案内A――NTW-205便の搭乗手続きを開始いたします。

女A――今度の女もすぐバレる嘘ついてたらしこんだんでしょ?私の時と同じ、嘘を言い通す根性もないクセに!

アル(回想)――嘘だー!本当は強いんだろ?バーニィ、アイツをやっつけられる?

チャーリー(回想)――このコロニーが好きだからね。

アル(回想)――楽勝?

アル・バーニィ(回想)――あははは…あははは…

ミチコ――食べる前に父さんとの事で話ておくことがあるの。

アル――離婚するの?

ミチコ――そうじゃないの、父さん帰ってくるの。

アル――いつ?

ミチコ――クリスマスよ。

アル――いつまでいるの?

ミチコ――ずうーっとよ。母さんね、父さんと仲直りしたの。
    ――どうしたの?嬉しくないの?

アル――んーん。

ミチコ――これからは家族三人一緒に暮らしていくのよ。

アル――(父さんが帰って来る、父さんまで死んじゃう…皆、死んじまうんだ…)

ミチコ――アル!電話よ、バーニィって人から。

アル――えっ!?ああ、

アル――もしもし?
   ――もしもしバーニィ?バーニィなの?バーニィ?

バーニィ――…ああ、俺だよ。

アル――バーニィ、あのね。さっきはごめんなさい。
   ――お願いだよ、僕達を助けてバーニィ。

バーニィ――…ああ、そのつもりだ。

アル――ホント?

バーニィ――ああ、アイツを倒すために、もう1度攻撃をかける事にした。手伝ってくれるか?

アル――うん、勿論だよ!ありがとうバーニィ!二人でやればきっと上手く行くよね?

バーニィ――ああ、上手く行くさ。

アル――大好きだよ!バーニィ…

バーニィ――…バカ野郎。

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